科学に語らせよう:福島のALPS処理水の安全性
令和6年1月9日
東京電力福島第一原子力発電所(FDNPS)の処理水放出について、「不支持と失望」を表明したパラオ議会上院合同決議第11-43号を読み、この問題に関する日本の取組について、改めて科学的根拠に基づく説明をさせていただきたい。
まず、海に放出される水は、トリチウムを除く全ての放射性物質(セシウム137やストロンチウム90等を含む)の濃度が、国際的な基準に基づいて設定された規制基準を大幅に下回るまで浄化され、さらにトリチウム濃度がWHOの飲料水基準の約7分の1未満になるように希釈され、安全性が確保されている。

ALPS処理水とは
トリチウムは水素に似た物質で、雨水、海水、水道水、人体などに広く存在する。トリチウムは非常に弱い放射線を出すが、紙一枚で防げる程度である。トリチウムは人体に蓄積されることはなく、水と一緒に排泄される。
国際原子力機関(IAEA)は、11カ国(アルゼンチン、豪、加、中、仏、マーシャル諸島、韓、露、英、米、ベトナム)の国際専門家の助言を得て、2023年7月の包括報告書で、(i) ALPS処理水の海洋放出に対する取組及び関連の活動は、関連する国際安全基準に合致している、(ii) 人体や環境への放射線影響は無視できる程となる、と結論づけた。
これらすべての科学的知見に基づき、日本は国際会議や二国間会合、太平洋諸島諸国のためのブリーフィングを通じて、誠意をもって自らの取組を徹底的に説明してきた。太平洋、アジア、欧州、中南米など幅広い地域の国々が日本やIAEAに理解と支持を表明するなど、日本の取組に対する理解は広がりつつある。
現在、ALPSの処理水放出は、第1回が2023年8月24日~9月11日、第2回が10月5日~10月23日、直近の第3回が11月2日~11月20日に実施された。第4回目は2024年2月下旬に予定されており、これは2023年度の最終回となる。
日本政府と東京電力は、IAEAの関与の下、重層的なモニタリングを実施している。放出されるALPS処理水はすべて、放出前に放射性物質の濃度が規制基準値をはるかに下回っていることを確認するために測定・評価され、その結果は放出前に公表される。これまでのモニタリングにより、計画通り安全に放出が行われていることが確認されている。2023年12月11日、IAEAは、IAEA、日本の検査機関、フィンランドと韓国の第三国の分析機関の間で実施されてきた「分析機関間比較」の結果に関する報告書を発表し、日本の試料採取方法は適切であり、海域モニタリングの一環として海洋サンプル中の放射性核種の分析に参加した日本の分析機関が、引き続き高い正確性と能力を有している旨報告している。
したがって、放出が人の健康、私たちの共通の財産である太平洋、そして私たちの未来に影響を及ぼすことは決してない。岸田首相や在京外交官をはじめ、多くの人々が地元の魚介類を食べて福島を応援する活動に取り組んでいる。

ジャスティン・ヘイハースト駐日豪大使が2023年9月5日に「X」に投稿した動画「食べて応援します」
また、さらなる透明性の向上のため、2023年10月16日から23日にかけて、中、韓、加の独立第三者機関が来日し、IAEA海洋モニタリングの一環として、東京電力FDNPS周辺の海水や海底土、福島県内の水産物を採取し、日本における海域モニタリングの信頼性と透明性を確保した。
さらに、処理水を海に放出することは、世界の原子力発電所では一般的な慣行であることは注目に値する。日本では、2011年の東日本大震災による事故以前から、FDNPSにおいて年間のトリチウム排出総量が管理目標値を下回るよう、厳しく管理されている。FDNPSの年間排出予定トリチウム総量は、他国の原子力施設から排出されるトリチウム総量よりも少ないため、太平洋やパラオが危険にさらされることはない。したがって、FDNPSのケースだけを取り上げて、その安全性を指摘するのは非科学的であり、不公平である。
日本は、パラオの人々のために、透明性の高いタイムリーな方法で、科学的根拠に基づいた情報を提供することを約束し、事実と異なる、科学的に不正確な主張の流布に断固反対する。科学に語らせよう。
折笠弘維 在パラオ日本国大使
まず、海に放出される水は、トリチウムを除く全ての放射性物質(セシウム137やストロンチウム90等を含む)の濃度が、国際的な基準に基づいて設定された規制基準を大幅に下回るまで浄化され、さらにトリチウム濃度がWHOの飲料水基準の約7分の1未満になるように希釈され、安全性が確保されている。

ALPS処理水とは
トリチウムは水素に似た物質で、雨水、海水、水道水、人体などに広く存在する。トリチウムは非常に弱い放射線を出すが、紙一枚で防げる程度である。トリチウムは人体に蓄積されることはなく、水と一緒に排泄される。
国際原子力機関(IAEA)は、11カ国(アルゼンチン、豪、加、中、仏、マーシャル諸島、韓、露、英、米、ベトナム)の国際専門家の助言を得て、2023年7月の包括報告書で、(i) ALPS処理水の海洋放出に対する取組及び関連の活動は、関連する国際安全基準に合致している、(ii) 人体や環境への放射線影響は無視できる程となる、と結論づけた。
これらすべての科学的知見に基づき、日本は国際会議や二国間会合、太平洋諸島諸国のためのブリーフィングを通じて、誠意をもって自らの取組を徹底的に説明してきた。太平洋、アジア、欧州、中南米など幅広い地域の国々が日本やIAEAに理解と支持を表明するなど、日本の取組に対する理解は広がりつつある。
現在、ALPSの処理水放出は、第1回が2023年8月24日~9月11日、第2回が10月5日~10月23日、直近の第3回が11月2日~11月20日に実施された。第4回目は2024年2月下旬に予定されており、これは2023年度の最終回となる。
日本政府と東京電力は、IAEAの関与の下、重層的なモニタリングを実施している。放出されるALPS処理水はすべて、放出前に放射性物質の濃度が規制基準値をはるかに下回っていることを確認するために測定・評価され、その結果は放出前に公表される。これまでのモニタリングにより、計画通り安全に放出が行われていることが確認されている。2023年12月11日、IAEAは、IAEA、日本の検査機関、フィンランドと韓国の第三国の分析機関の間で実施されてきた「分析機関間比較」の結果に関する報告書を発表し、日本の試料採取方法は適切であり、海域モニタリングの一環として海洋サンプル中の放射性核種の分析に参加した日本の分析機関が、引き続き高い正確性と能力を有している旨報告している。
したがって、放出が人の健康、私たちの共通の財産である太平洋、そして私たちの未来に影響を及ぼすことは決してない。岸田首相や在京外交官をはじめ、多くの人々が地元の魚介類を食べて福島を応援する活動に取り組んでいる。

ジャスティン・ヘイハースト駐日豪大使が2023年9月5日に「X」に投稿した動画「食べて応援します」
また、さらなる透明性の向上のため、2023年10月16日から23日にかけて、中、韓、加の独立第三者機関が来日し、IAEA海洋モニタリングの一環として、東京電力FDNPS周辺の海水や海底土、福島県内の水産物を採取し、日本における海域モニタリングの信頼性と透明性を確保した。
さらに、処理水を海に放出することは、世界の原子力発電所では一般的な慣行であることは注目に値する。日本では、2011年の東日本大震災による事故以前から、FDNPSにおいて年間のトリチウム排出総量が管理目標値を下回るよう、厳しく管理されている。FDNPSの年間排出予定トリチウム総量は、他国の原子力施設から排出されるトリチウム総量よりも少ないため、太平洋やパラオが危険にさらされることはない。したがって、FDNPSのケースだけを取り上げて、その安全性を指摘するのは非科学的であり、不公平である。

近隣諸国・地域におけるトリチウム年間処分量
日本は、パラオの人々のために、透明性の高いタイムリーな方法で、科学的根拠に基づいた情報を提供することを約束し、事実と異なる、科学的に不正確な主張の流布に断固反対する。科学に語らせよう。
折笠弘維 在パラオ日本国大使