インタビューシリーズ~パラオの日系人~ 第5回 ハルオ・ウィルターさん

令和5年10月9日




ハルオ・ウィルターさんは、86歳のパラオ在住の日系人。コロールの太平洋信託統治領事務所(TTPI)の副所長をはじめ、長年にわたりさまざまな役職を歴任してきました。1958年、グアムのTTPI事務局で働き始め、TTPIがサイパンに移転した後は、長年にわたり予算と財務を担当しました。ウィルターさんは、1979年と2005年に開催された第1回と第2回のパラオ憲法制定大会に参加した経験があります。
 
パラオの公務員として、また政治家として著名なウィルターさんは、日本とパラオの歴史的な深いつながりに様々な形で貢献してきました。ウィルターさんは、パラオ人と日本人を両親にもつ母のもとに生まれ、育った環境は、パラオと日本の2つの豊かな伝統の融合であったと言います。彼の祖父は日本人でキョウタ・サブロウという名でした。ウィルターさんの生い立ちに大きな影響を与えました。
 
9歳の時、ウィルターさんは日本人の祖父からあるアドバイスを受け、それが彼の人生観に影響を与えました。そのアドバイスとは、「今あるものを大切にし、常にベストを尽くし、110%の努力をしなさい 」というものでした。この賢明なアドバイスによって、ウィルターさんは成功への揺るぎない努力を重ね、その資質はキャリアを通じて一貫して維持されてきたそうです。
 
ウィルターさんの大切な思い出のひとつに、日本への旅行の際、富士山付近にてゴルフをしたことがあります。この経験は、彼のルーツである日本との距離を縮めただけでなく、パラオと日本の美しさに対する感謝の念を象徴するものとなりました。
 
ウィルターさんが抱くパラオの未来に対するビジョンは、国の本質を守ることに深く根ざしています。ウィルターさんはパラオの文化、言語、伝統的な慣習を守ることを重要視し、さらに、現在のパラオの憲法を守り、憲法が体現する原則と価値観がパラオを繁栄と統一へと導き続けることを確信しています。
 
ウィルターさんのライフストーリーは、先祖から引き継がれてきた伝統を受け入れ、勤勉に働き、祖国の向上のために努力することの重要性を教えてくれました。パラオの文化と歴史の保護に尽力するウィルターさんの姿は、パラオの独特なアイデンティティを大切にし、守っていこうとする未来の世代を鼓舞し続けるに違いありません。