IAEAは、日本の処理水放出は国際的な安全基準に合致していると結論づけた
令和5年7月18日
昨年12月、私は日本の新大使としてパラオに着任して以来、息をのむような美しい自然、豊かな伝統文化、そして両国の密接な歴史的つながりに深い感銘を受けてきた。太平洋の北の隣国を代表して、日本の処理水海洋放出計画に関する基本的な事実を説明したい。
福島第一原子力発電所から放出される汚染水は、高度液体処理システム(ALPS)で処理されたものである。この厳格なプロセスにより、放出水中の放射性物質の濃度は安全基準や規制基準をはるかに下回ることが保証され、放出前にはさらに希釈される。ALPSプロセスで除去できない唯一の放射性物質はトリチウムという水素の同位体で、海や飲料水に自然に存在する。希釈後のトリチウム濃度は、安全規制基準の40分の1、WHO飲料水基準の7分の1となる。
7月4日、IAEAのラファエル・グロッシー事務局長は、岸田総理にALPS処理水の安全性に関する包括的な報告書を提出した。IAEAは報告書の中で、ALPS処理水海洋放出へのアプローチおよび付随する活動は、関連する国際安全基準に合致しており、計画されている放出が人々や環境に与える放射線影響は無視できる程であると結論づけた。さらに、IAEAによるレビューとモニタリング活動が、処理水の放出中および放出後も継続される予定であるとしている。
原子力分野における国際的な安全基準を策定・採択し、適用する権限を有する国際機関であるIAEAによる本報告書を歓迎する。我が国としては、今回の包括的報告書の結論を踏まえ、今後とも、国際社会に対し透明性をもって必要な情報を提供していくとともに、ALPS処理水の取扱いについて、国際社会の一層の理解を得るための努力を継続する。
ALPS処理水に関連する「核」や「放射性物質」といった表現は、健康への懸念や特に太平洋地域に住む多くの人々が生活の糧としている海洋環境に関する懸念を呼び起こす可能性があることは理解している。日本の対策が国際的な安全基準に満たない場合、真っ先に影響を受けるのは日本国民であることを指摘しておきたい。したがって、日本政府は、常に人々と環境の安全を優先してきており、今後も同様である。
日本政府は、これまでも、そしてこれからも、このプロセスにおいて透明性を保ち、太平洋の近隣諸国の信頼と理解を得るために最大限の努力をしていく。
日本政府は2021年以降、東京の外交使節団やIAEAなどのさまざまな国際会議を通じて、これまでに14回の説明会を開催してきた。2023年2月に太平洋諸島フォーラム(PIF)の代表団が来日した際、岸田総理は、「日本国民や太平洋島嶼国の国民の生命を危険にさらすような形でのALPS処理水の海洋放出を認めない」という日本のコミットメントを改めて表明した。また、PIF事務局とのビデオ会議がこれまでに5回、PIF専門家パネルとのブリーフィングがこれまでに6回行われた。
最後に、パラオ政府とパラオの人々の日本に対する揺るぎない友情に感謝を申し上げたい。スランゲル・ウィップス・ジュニア大統領が日本の計画に信頼を寄せていることに深く感謝する。先月、ウィップス大統領が上院、下院議員と伝統的リーダーを含む代表団を伴って福島第一原子力発電所を訪問したことは、大変光栄なことであった。国家元首が同発電所を公式訪問したのはこれが初めてであった。この訪問により、代表団はこの高度に技術的なプロセスについて理解を深められたと思う。
2011年の壊滅的な震災の余波を乗り越えることは容易ではない、日本は、完全な透明性と説明責任をもって、エネルギーと気候変動に関する問題に引き続き取り組んでいく。日本は、再生可能エネルギーと原子力の利用を、温室効果ガスの削減と脱炭素化を達成するための重要な一部と考えている。パラオ政府とパラオの人々の日本への継続的な支援に感謝する。
福島第一原子力発電所から放出される汚染水は、高度液体処理システム(ALPS)で処理されたものである。この厳格なプロセスにより、放出水中の放射性物質の濃度は安全基準や規制基準をはるかに下回ることが保証され、放出前にはさらに希釈される。ALPSプロセスで除去できない唯一の放射性物質はトリチウムという水素の同位体で、海や飲料水に自然に存在する。希釈後のトリチウム濃度は、安全規制基準の40分の1、WHO飲料水基準の7分の1となる。
7月4日、IAEAのラファエル・グロッシー事務局長は、岸田総理にALPS処理水の安全性に関する包括的な報告書を提出した。IAEAは報告書の中で、ALPS処理水海洋放出へのアプローチおよび付随する活動は、関連する国際安全基準に合致しており、計画されている放出が人々や環境に与える放射線影響は無視できる程であると結論づけた。さらに、IAEAによるレビューとモニタリング活動が、処理水の放出中および放出後も継続される予定であるとしている。
原子力分野における国際的な安全基準を策定・採択し、適用する権限を有する国際機関であるIAEAによる本報告書を歓迎する。我が国としては、今回の包括的報告書の結論を踏まえ、今後とも、国際社会に対し透明性をもって必要な情報を提供していくとともに、ALPS処理水の取扱いについて、国際社会の一層の理解を得るための努力を継続する。
ALPS処理水に関連する「核」や「放射性物質」といった表現は、健康への懸念や特に太平洋地域に住む多くの人々が生活の糧としている海洋環境に関する懸念を呼び起こす可能性があることは理解している。日本の対策が国際的な安全基準に満たない場合、真っ先に影響を受けるのは日本国民であることを指摘しておきたい。したがって、日本政府は、常に人々と環境の安全を優先してきており、今後も同様である。
日本政府は、これまでも、そしてこれからも、このプロセスにおいて透明性を保ち、太平洋の近隣諸国の信頼と理解を得るために最大限の努力をしていく。
日本政府は2021年以降、東京の外交使節団やIAEAなどのさまざまな国際会議を通じて、これまでに14回の説明会を開催してきた。2023年2月に太平洋諸島フォーラム(PIF)の代表団が来日した際、岸田総理は、「日本国民や太平洋島嶼国の国民の生命を危険にさらすような形でのALPS処理水の海洋放出を認めない」という日本のコミットメントを改めて表明した。また、PIF事務局とのビデオ会議がこれまでに5回、PIF専門家パネルとのブリーフィングがこれまでに6回行われた。
最後に、パラオ政府とパラオの人々の日本に対する揺るぎない友情に感謝を申し上げたい。スランゲル・ウィップス・ジュニア大統領が日本の計画に信頼を寄せていることに深く感謝する。先月、ウィップス大統領が上院、下院議員と伝統的リーダーを含む代表団を伴って福島第一原子力発電所を訪問したことは、大変光栄なことであった。国家元首が同発電所を公式訪問したのはこれが初めてであった。この訪問により、代表団はこの高度に技術的なプロセスについて理解を深められたと思う。
2011年の壊滅的な震災の余波を乗り越えることは容易ではない、日本は、完全な透明性と説明責任をもって、エネルギーと気候変動に関する問題に引き続き取り組んでいく。日本は、再生可能エネルギーと原子力の利用を、温室効果ガスの削減と脱炭素化を達成するための重要な一部と考えている。パラオ政府とパラオの人々の日本への継続的な支援に感謝する。