インタビューシリーズ~パラオの日系人~ 第1回 ジョン・タカヤ・スギヤマさん、ヒロコ・スギヤマさん

令和5年6月7日

ジョン・タカヤ・スギヤマさんは、静岡県御殿場市出身のスギヤマ・ハヤトさんとパラオ人のお母さんとの間に生まれた日系二世です。奥様のスギヤマ・"スズキ"・ヒロコさんも同じく日系二世で、お母さんはパラオ人、お父さんは千葉県出身の日本人です。
 
第二次世界大戦後、スギヤマ家は一度日本に引き揚げましたが、ジョンさんの父親のハヤトさんが日本よりもパラオの方が豊かな生活ができると考え、家族全員でパラオに戻ったそうです。ジョンさんは日本統治時代に生まれ、お父さんも日本人なので、幼少期から日本語を学び、80歳を超えた今でも大変流暢な日本語を話されます。
 
ジョンさんはパラオで中学校を卒業した後、高等教育を受けるためグアムに移りました。グアムのジョージ・ワシントン高校を卒業後グアム大学に進学し、政治学の学士号を取得して卒業しました。
その後パラオに戻ったジョンさんは、パラオの第2回議会で上院議員を務めました。弟のピート・ナオヤ・スギヤマさんも数期にわたり上院議員を務める中で一時は上院議長として活躍され、パラオ大統領選挙にも出馬しました。ジョンさんはアルモノグイ州出身のお母さんの家系を継ぎ、現在はアルモノグイ州の伝統的酋長「ニルトゥロン」の称号を与えられています。奥様のヒロコさんは、ニルトゥロンの妻である「ディルトゥロン」の称号を与えられています。
 
ジョンさんとヒロコさんは、日本統治時代の思い出として、当時のコロールの街は雨が降っても濡れずに移動できるように屋根続きで設計されていたことを話してくださいました。また、ジョンさんのお父さんのハヤトさんは当時、現在のコロールのモッコー地区で商売をしていて、とても繁盛していたそうです。
 
ご夫妻はこれまで何度も日本を訪れており、二人とも日本の食べ物が大好きだそうですが、ジョンさんは納豆だけは苦手だと笑いながら話してくれました。ジョンさんは日本に行くたびに、日本にいる親戚と一緒に杉山家のお墓参りをしているそうです。また、お父さんの故郷である静岡で富士山を眺めたり、カーレースを見たりするのが楽しみなんだそうです。
 
スギヤマさん夫妻は結婚して今年で58年、7人のお子さんをもうけ、今ではパラオや海外にたくさんのお孫さんがいらっしゃいます。
 
また、ご夫妻は、2018年4月に上皇上皇后両陛下がパラオを訪問された際、ご家族で大きな横断幕を作り、道端に立ってお迎えしたことを興奮気味に話してくださいました。両陛下が車で通り過ぎる時に、車の窓を開けて中から手を振ってくださったことを今でもよく覚えているそうです。
 
2024年の日本とパラオの外交関係樹立30周年に向けて、スギヤマさんご夫妻は、政府間だけでなく人と人との友好的な交流がもっと増えてほしいと願っている、と語ってくださいました。