草の根・人間の安全保障無償資金協力「アイライ保育園建設計画」署名式

令和4年3月18日

 

 


2022318日、在パラオ日本国大使館において、令和3年度草の根・人間の安全保障無償資金協力「アイライ保育園建設計画」の署名式が執り行われました。式典には、大使館側から柄澤彰大使が、またパラオ側からパラオ・コミュニティ・アクション・エージェンシーのマルシア・イナシオ代表の他、同団体関係者が出席しました。

 
パラオ・コミュニティ・アクション・エージェンシーは、パラオで唯一の就学前の幼児を対象とした教育・保育施設を運営する非営利団体です。同団体は、当国唯一の短期大学であるパラオ・コミュニティー・カレッジとの共同事業として、2000年に同短大敷地内に保育園を設立し、それ以前から運営していた幼稚園(ヘッド・スタート、3~5歳児向け)プログラムと合わせ、パラオにおける幼児教育・保育施設として重要な役割を担っています。また、2013年には、草の根・人間の安全保障無償資金協力「パラオ保育園建設計画」により、コロール州ガルベエッド地区に、当国において初めて2歳より下の乳幼児が日中通える保育園を建設し、現在、乳幼児約30名が通っています。

 

同国においては、保護者が乳幼児を日中フルタイムで預けられる施設は同団体が運営する保育園に実質上限定されています。個人事業者の託児サービスは存在しますが、高額であり、平均的な所得の世帯は利用困難です。このため、同園への入園希望者は恒常的に多く、待機児童リストには常に40~60名が登録されている状況が続いています。しかしながら、既存の保育園(コロール州)の教室は2室と限られており、受入れ可能人数に限界があるため、待機児童は増える一方となっています。また、同園はコロール州にありますが、近年人口が増加しているアイライ州において、乳幼児を対象とした託児・教育施設を新設する需要が高まっています。パラオ政府教育省としても、同国全体の人材育成・学習水準の向上につながる低所得世帯やひとり親世帯への教育機会の保障を重視しており、今後益々入園希望者が増える見込みであることから、同団体の運営する保育園の新設は喫緊の課題となっています。こうした背景の下、供与額21,557,448円の本件協力により、アイライ州に1歳~5歳を受け入れる保育園が新設されます。これにより、同州住民が未就学児を日中の就業及び就学中に安全に子供を預けられようになります。また、保育園の建設予定地は、アイライ幼稚園及びアイライ小学校に隣接する場所となるため、州内の教育関係施設が1か所に集中することにより、兄妹のいる保護者にとっても送迎が容易になる利点も期待されます。

 
式典において柄澤大使は、「本協力がパラオの幼児教育のさらなる発展へ貢献することを願う。」と述べました。イナシオ代表は、「日本政府の支援に対し団体としてだけでなく、コミュニティの一員としても深く感謝する。」と述べました。

 
パラオでは、平成11年に初めて草の根・人間の安全保障無償資金協力が実施され、本件は93件目の案件署名となりました。