草の根・人間の安全保障無償資金協力「ミューンズ小学校食堂再建計画」の署名式

令和4年3月4日
   



2022年3月4日、在パラオ日本国大使館において、令和3年度草の根・人間の安全保障無償資金協力「ミューンズ小学校食堂再建計画」の署名式が執り行われました。式典には、大使館側から柄澤大使が、またパラオ側からジェンキンス教育大臣、イケシイル校長の他、教育省関係者等が出席しました。
 
ミューンズ小学校は、同国の主要島の一つであるアラカベサン島のコロール州ミューンズ地区に位置し、児童約160名が在籍する、同国で3番目に在籍児童数の多い公立小学校です。
 
ミューンズ小学校を含む同国の公立小学校では、教育省の負担により、児童に毎日2食の給食が提供されています。2021年10月からは、朝食の提供も開始されました。毎日の給食提供は、児童の出席率を上げるだけでなく、低所得層の児童が空腹で学校生活を過ごすことなく、学習に集中する上で不可欠なプログラムとなっています。
 
しかしながら、同校の食堂は、熱帯の高温多湿な気候の下、老朽化が著しく、同国を2021年4月に襲った台風2号の暴風と豪雨に加え、その後の雨季の長雨による影響により、状態は更に悪化し、倒壊・崩落の危険性を指摘されており、2021年8月の新年度開始以降、食堂を使用できない状態が続いています。現在、ミューンズ小学校では食堂が使用できないことから、同校は3kmほど離れたパラオ高校の調理室を間借りして給食を調理し、同校に運搬、児童は各教室で給食を食べるという応急措置を取っています。
 
さらに、同食堂は、体育館や多目的室等を所有しない同校において唯一、大人数が集まれる広さの建物であり、児童集会、雨天時の体育授業や様々な学校行事、PTA集会等に使用されるなど、同校の運営上不可欠な役割を多角的に担っていました。こうした中、安全かつ適切な教育環境等を保障する観点から、同食堂の修復は喫緊の課題となっていました。
 
これらの課題を踏まえ、今般、当館はミューンズ小学校の食堂を再建する本件協力の実施を決定しました。供与額52,596,000円の本件協力により、ミューンズ小学校の食堂が再建され、同校児童に対する給食提供の正常化が図られるとともに、学校関係者が集会等を開く場所が提供され、安全かつ衛生的な教育環境が整備されます。
 
式典において柄澤大使は、「本件がミューンズ小学校のさらなる発展へ貢献することを願う。」と述べました。イケシイル校長は、日本政府の支援に感謝の言葉を述べた上で「児童の保護者や地域の方々もこの朗報に喜んでいる。」と述べました。ジェンキンス教育大臣は、「本案件に対する日本政府の迅速な支援に感謝するとともに、パラオの教育分野への継続的は支援に感謝する。」と述ました。
 
パラオでは、平成11年に初めて草の根・人間の安全保障無償資金協力が実施され、本件は90件目の案件署名となりました。本件の供与額は、過去90件の草の根・人間の安全保障無償資金協力の中でも2番目に大きく、教育分野では過去最大のものとなりました。