トビ島の太陽光発電システムへの日本の支援:引渡式の実施
2021年12月27日から29日にかけて、コロールから船で片道24時間を要するパラオの南西諸島の一部であるハトホベイ州トビ島へ出張した柄澤大使は、28日、同島に初めて設置される5kwの太陽光発電システム(設置費用等を含め総額約230,000ドル)を供与するための第7回引渡式に参加しました。本事業は、日本が国連開発計画(UNDP)を通じて実施している、パラオへの災害対応・防災支援事業(総額750万ドル)の一環として行われたものです。
引渡式には、柄澤大使、オビアン公共基盤・産業大臣、ジェンキンス教育大臣、ネストール・ハトホベイ州知事、パラオ政府関係者、シリキヤサワUNDPプロジェクト・コーディネーター、島民の方々などを含む多くの関係者が出席しました。
この太陽光発電システムの設置により、電気の通っていないトビ島に、初めて電力を安定的に供給できるようになりました。提供される電力は、台風などの災害時に学校が避難所として利用される際の緊急電力の提供及び計7人の生徒及び3人の教師がデジタル機器を使用して日々の学習を行うために活用されます。
事前の研修を含む太陽光発電システムの設置は、教育省、エネルギー庁(PEA)、ソンソロール州政府、国家通信公社(PNCC)、国家緊急事態管理室(NEMO)などの協力を受けて実現しました。
また、海上安全・魚類・野生生物保護課(DMSFWP)の協力を得て、日本財団が提供した「ケダム」とオーストラリア政府が提供した「レメリークII」により、太陽光発電システムの機材をコロールから同島に輸送しました。
ネストール・ハトホベイ州知事は、柄澤大使のハトホベイ州訪問を厚く歓迎するとともに、「太陽光発電システムの設置により、子ども達の教育環境の向上及び災害時の緊急電力を地元民コミュニティに提供することが可能となり、とても感謝している」と述べました。
オビアン公共基盤・産業大臣は、「新型コロナウイルスの世界的流行の中で、離島へのソーラーパネルの設置に尽力した全ての関係者に敬意を表するとともに、日本国民及び日本政府の支援に真摯に感謝したい」と述べました。
柄澤大使は、ハトホベイ州を訪問した初めての日本大使となったこと、これでパラオ全16州を訪問できたことへの喜びを表明した上で、「日本では地震や台風などの災害が多く、島民の皆様と同じように非常時の電気の重要性を感じている。この太陽光発電システムが、島民の生活を自然災害からの『プロテクション』の役割を果たすと同時に、子ども達がタブレットなどのデジタル機器を使うことができるようになり、将来形成のための 『エンパワーメント』の役割を果たすことを期待している」と述べました。また、「我々の支援はここで終わりではなく、今後数ヶ月の間に、ハトホベイ州の人々にHF無線機も提供する予定である」とも述べました。
シリキヤサワUNDPプロジェクト・コーディネーターは、日本政府及び日本国民に対する感謝の言葉を述べるとともに、「このような努力の積み重ねが、子どもたちの生活に有意義な影響を与え、今後の学習効果を高めることに間違いない」と述べました。
ジェンキンス教育大臣は、「日本国民及び日本政府に最大限の感謝の意を表明したい。太陽光発電システムは、間違いなく子ども達の教育環境を向上させる」と述べた上で、「同システムの管理方法を現地の職員が習得したことは、再生可能エネルギー分野を支える現地の能力構築という点で、偉大な成果である」と述べました。
在パラオ日本国大使館は、本事業にて供与された機材がトビ島で末永く活用されることを願っています。