草の根・人間の安全保障無償資金協力「パラオ漁業支援機材整備計画」署名式及び海外漁業協力財団による漁船・多目的船等の引渡式
令和3年3月3日


2021年3月2日、マラカル島のパラオ天然資源・環境・観光省海洋資源局において、令和2年度草の根・人間の安全保障無償資金協力による「パラオ漁業支援機材整備計画」の署名式及び海外漁業協力財団による漁船等の引渡式が併せて執り行われました。式典には、日本側から柄澤大使が、またパラオ側からウィップス大統領、センゲバウ上院議員、ベラウ沖合漁業組合、北部漁業協同組合等の関係者約20名が出席しました。
パラオにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響や、パラオ国家海洋保護区法の施行を受けて、漁業を産業として育成し、国産水産物の市場への安定供給と食料安全保障の改善を図ることが急務となっています。パラオ政府は、各種施策により沖合漁業の育成に取り組んできましたが、資金不足により、沖合漁業の本格的展開に必須となる漁船や漁具を調達できない状態が続いていました。このため、パラオ天然資源・環境・観光省から在パラオ日本国大使館に対し、漁船や漁具の調達に対する支援を求める要請が継続して寄せられていました。
今般、在パラオ日本国大使館は、供与額8,460万2,980円(769,118米ドル)の草の根・人間の安全保障無償資金協力により、パラオ天然資源・環境・観光省海洋資源局に対し、5トン級(約13m)の一本釣り漁船1隻及び漁具を供与することを決定しました。本協力による供与額は、パラオにおける現在までの合計85件の草の根・人間の安全保障無償資金協力のうち最大であり、太平洋島嶼国でも過去5年間で最大となります。本協力により、沖合漁業の本格的展開に必要となる漁船及び漁具が調達され、かつお・まぐろ類を中心に年間約80~100トンの漁獲が新たに創出され、漁業者や水産事業者の収入の向上と生計の安定化に貢献することが期待されます。また、持続可能な沖合漁業が確立されるとともに、パラオの産業の多角化、国内市場への水産物の安定供給及び食料安全保障の改善につながることも期待されます。新しい漁船は2022年2月頃までに調達される予定です。
署名式に続いて、海外漁業協力財団(OFCF)による支援により調達された28フィート漁船(ヤンマー製)、38フィート多目的船(NECOヤマハ製)、電動リール付釣具3本及び保冷箱10個の引渡式が実施されました。本支援は、水産庁の令和2年度「海外漁業協力強化推進事業」を活用し、海外漁業協力財団がパラオ天然資源・環境・観光省と綿密に協議しながら、地元の漁業者が有効に活用できる機材の選定と調達を支援したものです。28フィート漁船、電動リール付釣具及び保冷箱は、海洋資源局を通じて北部漁業協同組合にリースされ、ガラロン州・カヤンゲル州の沿岸漁業に活用される予定です。38フィート多目的船は海洋資源局に供与され、小型集魚装置(FADs)の設置等、沖合漁業の展開に向けた環境整備に必要となる様々な作業に活用される予定です。本件におけOFCFの支援額は約4,200万円(405,636米ドル)となりました。引渡式では、竹中美晴OFCF理事長からのビデオメッセージが放映されました。
式典に出席したウィップス大統領は、「今日は、パラオで過去最大の草の根・人間の安全保障無償資金協力の署名式と、船2隻の引き渡しが同時に行われた記念すべき日である。これまでの日本の支援に深く感謝するとともに、沖合漁業の発展に向けた今後の技術協力が実を結ぶことを期待する。」と述べました。また、柄澤大使は、「本件は、沖合漁業を育成するというパラオの真剣な要請を受けて実現した特別な支援である。今般の支援により、パラオの沖合漁業の育成、国産水産物の安定供給及び食料安全保障の改善が図られるとともに、日本・パラオ両国の友情の絆が一層深まることを期待している。」と述べました。