JICAボランティアエッセイ(山下JV)

令和2年7月17日
山下悟史
 
パラオでの青年海外協力隊の活動を終えて、様々な経験をすることができた。私は新卒で参加したため、日本での社会人経験はなく、青年海外協力隊が私にとって初めての仕事であった。生まれや育ちの異なる人々と生活する上で、カルチャーショックや仕事の不満等、乗り越えなければならない壁に多く出会ったが、周りの人に助けられ無事に活動を終えることができた。特にホームステイをさせてくれたエメシオール家や職場の方々には心から感謝したい。
私の活動は主に、ガッパン州にあるイボバン小学校で教員や児童に対して、体育と算数を指導支援することであった。パラオでは、教員になる時、教員免許や教員採用試験等は存在せず、言ってしまえばどんな人でも教員になることができる。よって、教員によっては教育の知識や技術が不足しており、ボランティアの支援が非常に大切である。このような状況の中で、教員の指導力を向上させるために、授業支援を行ってきた。私が最も手応えを感じた支援は、実際にやって見せることである。同僚教員の授業を見て言葉で助言するよりも、私の授業を見せながら、具体的にどこが大事なのかポイントを伝えることで、深い理解につながったと感じる。そして、次につながる人材やリーダーの育成をすることができたのではないかと思う。私の支援で教員の指導力について全てを補うことができたとは言えない。継続的な支援と、さらなる知識や経験が必要である。基礎的な土台は築くことができたため、さらに踏み込んだ支援が重要である。
また、パラオでの活動を終えて、自分を大きく成長させることができた。もちろん上手くいくことばかりではなく、コミュニケーションの壁やカルチャーショック等、パラオでの生活に挫けそうな時は何度もあった。しかし、周りで支えてくれたパラオ人や他の隊員の優しさに触れることで乗り越えることができた。特に強く感じたのは、ひとりで抱え込みすぎないということである。自分の中にあるモヤモヤやストレスを、自分の中だけに溜め込むのではなく、人に相談したり頼ったりすることが大切であると改めて感じた。元々引っ込み思案で自分の言葉に自信がなく積極性もない性格であったが、パラオの生活を経て、自分に自信を持つことができ、人としての礎、基盤を築くことができたと考える。パラオ人や隊員だけではなく、私に関わってくれた全ての人に感謝したい。
そして、この生活で感じたこと考えたことを、自分の中だけにとどめておくのではなく、多くの人に共有したい。将来は教員になろうと考えており、子どもたちに対して、海外での生活やボランティアの素晴らしさを伝え、少しでも海外に興味関心のある子どもたちを育てていきたい。