JICAボランティアエッセイ(平野JV)
令和2年7月13日
パラオで学んだ「協力」
平野 智章
私は2018年7月からジョージ.B.ハリス小学校で算数の教師として活動していました。主な活動内容は、子供たちに算数を教えることと、現地の先生方の算数授業を補助することです。具体物や図を使って数の感覚をつかませることと、段階をふみながら練習問題の量を増やして定着を図ることに力を入れました。
日本で小学校教員として5年間働いた経験があったため、はじめは自分の経験を生かしてパラオの算数教育を向上させようと意気込んでいました。しかし、異国の地では子供たちや先生方との意思疎通が思ったよりもずっと難しく、うまく伝わらないことが多かったです。特に1年生と2年生への指導については、日本でも担当した経験がなかったため、とても苦労しました。
自分一人では何もできないまま終わってしまう日々もありましたが、そのようなときに助けてくれたのが先生方や子供たちでした。先生方は、私の言いたいことが子供たちにうまく伝わらないときはパラオ語で通訳したり、私が言われたことをうまく理解できなかったときは親切にかみ砕いて伝えたりしてくれました。子供たちは、私の拙い指導を笑顔で聞いて一生懸命理解しようとし、さらには理解できた内容を「子供の目線」で友達に伝えることで助けてくれました。このようにして、一緒に助け合いながら算数の授業を教室にいるみんなで作り上げていくことが私の喜びとなっていったのです。
私はこの経験から「協力とは、相手を尊重して助け合うこと」なのだと学びました。振り返ると、実際は助けられていることの方がずっと多かったと思います。学校だけでなく、ホストファミリーをはじめパラオにいる皆さんに支えられて、パラオでの素晴らしい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
2020年3月、学んだことを生かして残り3か月の任期で恩返しをしようと思った矢先に、新型コロナウイルスの影響による海外協力隊員の全員帰国が決まりました。任期は終わってしまいましたが、このままパラオの皆さんとお別れするのはあまりにも悲しいので、旅客便が再開されたらもう一度パラオへ戻るつもりです。また会える日を楽しみにしております。
