パラオの思い出(JICAボランティアエッセイ 安井SV)
平成30年1月12日
パラオの思い出
安井雄三
パラオでの約2年間を振り返ると、人々の親切なところに助けられ、数々の出来事を経験することができました。これらを心に刻んで、帰国することができます。ありがとうございました。
2016年1月、JICAのシニアボランティアとして、パラオの電力会社、PPUC (Palau Public Utilities Cooperation)の再生可能エネルギー課(RED:Renewable Energy Division)に配属されました。多くのことを経験しましたが、そのなかで特に心に残ったことは3つあげられます。
一つ目は、街灯のLED(発光ダイオード)への取替のため、しばしば現場に出かけたことです。取替は省エネルギーのため非常に有効な手段です。記録的な渇水と暑さでしたが、この作業で全ての州(遠くはなれたソンロール、ハトホベイを除く)と多くのハムレットに行くことができ、パラオの生活とその環境、そして電力設備を随所で見ることができました。行く先々で、ジュース、果物の差し入れがあり、パラオ人の人を思いやる心に接することもできました。
二つ目は、国の再生可能エネルギーの導入目標が2025年に45%と知って、どうしたらいいのか私なりに考えたことです。この目標は、島国のパラオにとって重要なことですが、かなりハードルが高いと直感しました。データでみてみることが必要です。まずは、1年を通じて毎日のロードカーブ(電気の使われ方)を今後拡大する太陽光も考慮して作成しました。次にそのロードカーブ゙を使って目標45%を達成するケーススタディを行ってみました。その結果、多くの太陽光を導入する必要があるが昼間しか発電できないため、45%を達成するには、他の再生可能エネルギー(風力など)の導入、電力貯蔵システム等の対策も必要なことも示すことができました。今後、この対策を詳細に検討してゆくことになりますが、今回作成したロードカーブは必ず必要となることと思います。
三つ目は、電力流通設備のアップグレードを目指した案件がスタートしたことです。赴任以来、多くの電力設備を見て、取替、改良が必要だと感じていたところで、この案件の日本からの技術者に現場を案内し、意見を申し上げることができました。今後のパラオの電力設備がどのように良くなってゆくのか楽しみですが、この案件が終了する前にパラオを去ってしまうのが残念です。
仕事上のことばかり書いてしまいましたが、何よりも心に残ったのは、パラオの青い海と空です。この2年間で世界遺産であるロックアイランドを始め、ペリリュー島、アンガウル島、カヤンゲル島にも行くことができました。行く先々で見た景色、コバルトブルーの海、白い砂浜から沖に向かってのグラデーション、夕焼け、好きな写真を整理しきれないほど撮影でき、私の宝物となりました。このきれいな海を是非とも守っていただきたいと願っております。そのためにも再生可能エネルギー、太陽光がますます導入されますよう、祈りながら帰国します。
ありがとう、パラオ。 Mesulang!


