パラオで活躍するJICAボランティア

平成28年8月24日

パラオからAlii!(こんにちは)

JICA ボランティア 大野 歩
 
Belau loba klisiich er a kelulul~子どもたちが歌うパラオ国歌とともに、コロール小学校の一日が始まります。配属されているコロール小学校には、約700人の児童が通っています。パラオの小学生が約2100人なので、約三分の一の小学生がコロール小学校に通っています。休み時間やランチタイムは、元気に遊ぶ子どもたちの笑顔でいっぱいです。
 
コロール小学校では、1年生と2年生のクラスに入り、算数の授業を行っています。授業の前には、先生と授業内容について話し合い、レッスンプランを立てて授業を計画します。パラオでは、シンガポールの算数教科書を使っています。この教科書の特長である、具体→図化→抽象のステップを意識しながら授業を計画しています。
 
授業では、ブロックや折り紙、立体模型などを使った操作活動を取り入れ、体験を通して学ぶことができるようにしています。パラオの公立小学校には、各学級に算数ブロックや立体図形、ものさしや秤などの教具が教育省から支給されており、日本以上に教具が充実しています。しかし、先生たちは教具などを使った授業を受けてきていないため、一緒に授業を行うことを通して、どのように授業で活用すればよいか知ってもらっています。
 
コロール小学校には、熱心な先生が多く、また、これまでに何人もの隊員が配属されています。以前の隊員たちが作った10の合成を覚えるための歌「Make 10 song」が今でも授業に取り入れられている場面や、授業計画やワークシートが活用されている姿を見ると、先生や子どもたちのために、より楽しく分かりやすい授業をつくるために、私も一緒に何かしたいな、という気持ちになります。そんなコロール小学校の先生たちの授業を、他の学校の同じ学年の先生にも参観してもらい、授業づくりの参考にしてもらいたいと考え、小学校に配属されている隊員や教育省に配属されているボランティアと協力し、先生向けの公開授業を行いました。参加した先生から好評だったため、授業参観や、より良い授業のための意見交流などができる機会がもっと増えるよう、働きかけていきたいです。
 
休みの日は、イタボリ教室に通っています。ひとつの作品を仕上げるのに、約2~3ヶ月かかります。ノミとハンマーを使い、木を彫っているとあっという間に時間が経ってしまいます。木を彫っていく作業も楽しいですが、作品に描かれているパラオで語り継がれてきた話を聞くことも、興味深く、楽しいです。
 
学年末の休暇を利用して、かご編みも習い始めました。最初は、シニアシチズンセンターで作り方を教えてくれているニーナさんに材料を分けてもらいました。数年前の台風の影響で、カヤンゲル島から材料が手に入りにくくなったそうです。そこで、パンダナスの葉を採取し、棘を取り、ゆでて乾かし、材料を準備しました。しかし、なかなか上手く作れず試行錯誤しています。そんな折、カヤンゲル島へ訪れる機会があり、出会いを通して材料のパンダナスを手に入れることが出来ました。また、かご編みをするときに芯に使う木の板も、親切な方との出会いで手に入れることが出来ました。
 
ホストファミリーはじめ、コロール小学校の先生たち、毎日元気いっぱいに学ぶ子どもたち、教育省の方々、イタボリ教室の先生、シニアシチズンセンターの方々、カヤンゲルで出会った方たちや木の板を準備してくれた方など、書ききれませんが、たくさんの方たちに出会い、掛け替えのない経験ができています。残り少ない任期の、一日一日を大切に過ごしていきたいです。