◆パラオ便り(2012年8月)
「選挙で使われる、パラオ語になった日本語」
今年は、4年に一度のパラオの選挙の年です。9月25日に予定されている大統領、副大統領の予備選挙に先駆け8月15日には、ガラマヨン文化センターで、3人の大統領候補による公開討論が行われました。討論の様子はテレビやラジオで幅広く中継され、多くのパラオ人が見守りました。パラオは戦前から戦中にかけ30年間日本の統治下にあった為、食習慣や言葉など日本の習慣が色濃く残っており、候補者の演説を聞いていると、耳慣れた単語が時々出てくることに気付かされます。センキョ(選挙)、ダイトウリョウ(大統領)、コウホシャ(候補者)、ヨサン(予算)、デンキ(電気)、ショウバイ(ビジネス)など、選挙でよく使われるこれらのパラオ語は日本語に由来しており、今年はパラオと日本の歴史的な繋がりを改めて認識する年になりそうです。
「広島なぎさ高等学校学生のパラオ訪問」
広島なぎさ高等学校の学生たち22人が7月26日から29日にかけ、修学旅行でパラオを訪問しました。学生たちは、「太平洋の極小島嶼国から世界をみつめる旅」と修学旅行の主題を決め、パラオ国会議事堂、高齢者センタ-、水産試験場、パラオ国際珊瑚礁センター、国立病院など数多くの施設を訪れました。また、日本国大使館では、日本とパラオの歴史的関係について話を聞いたり、パラオ高校の学生たちとのバスケットボールの試合などの活動を行いました。
「日本人グループがパラオ高齢者センターを訪問」
(高齢者センターのお年寄りたちと)
8月6日、医療関係者などを含む日本人のグループ(人間機能開発研究所)が一昨年、昨年に引き続きパラオの高齢者センターを訪問し、日本の音楽や踊りを披露したり、浴衣の着付けなどをしました。日本の統治時代を経験しているパラオ人のお年寄りは今でも流ちょうな日本語を話し、日本からの訪問客と日本語で交流を楽しみました。また、一部の参加者はペリリュー島の戦争遺跡を訪れるなどの活動を行いました。8日にはお別れ会が開かれ、マルグ社会・文化大臣が一行の、パラオ人高齢者に対するサービス活動に対し、感謝を述べました。
琉球大学の土屋教授をはじめとした珊瑚研究者によるパラオ訪問

(貞岡大使と懇談する琉球大学の研究者方)
パラオは世界でも有数の美しい珊瑚礁と生物多様性を誇る海に囲まれています。そのような美しいパラオの自然環境を守るため、日本政府はこれまで長年に亘り様々な分野でパラオを支援してきました。中でもパラオ国際珊瑚礁センターは、パラオを含めたミクロネシア地域を代表する珊瑚礁の研究施設ですが、研究施設や併設の水族館は日本のODAにて建設され、また多数のJICA専門家がこれまで派遣され、パラオ人研究者の育成などに携わってきました。
現在計画が進められているプロジェクトとして、パラオ国際珊瑚礁センターと日本の琉球大学とが協力し、地球温暖化対策を研究するという「地球規模課題対応国際科学技術協力・サンゴ礁島嶼系における気候変動による危機とその対策プロジェクト」があります。地球温暖化に直接的にさらされる小島嶼国の対策を日本とパラオが協力して研究していく内容で、その準備のために今回琉球大学よりサンゴ礁学会を代表する教授5名がパラオを訪問しました。日本とパラオの英知を結集し、パラオの美しい海や陸を地球温暖化の脅威から守って行くことが期待されます。
本プロジェクトの共同研究を推進する科学技術振興機構(JST)のウェブサイトでは、世界の「研究課題一覧」(http://www.jst.go.jp/global/kadai/index.html)が紹介されています。そこには世界の大国と肩を並べてパラオのプロジェクトが紹介され、世界地図の中心にパラオの国旗が掲載されていますので、是非チェックしてみてください。
©Embassy of Japan in the Republic of Palau
P.O. Box 6050 Koror, Republic of Palau 96940